財団が管理する森林は、明治末から大正初期にかけて牧場造成や木材生産のために多くの木が伐採されましたが、自然の力を活かす天然林施業とアカエゾマツやクロエゾマツの造林によって、針広混交林を主とした原生的な森に育て上げているところです。
目標としている森は、人の手が入る前の原生林です。それに限りなく近づけるよう森づくりをすすめています。
現在の森林の蓄積構成は、針葉樹が52%、広葉樹が48%です。しかし、「天然記念物調査報告・阿寒原始林」(大正12年、新島善直・工藤裕舜)によると、阿寒湖周辺の原生の森林はおおむね針葉樹70%、広葉樹30%で構成されていたと考えられます。
このため財団では、自然の力を活かし、原生の森林の復元を目指し森林保全の取り組みを行っています。
林 種 | 面積(ha) | 比率(%) | 蓄 積(m3) | 備考(m3/ha) | ||
針 葉 樹 | 広 葉 樹 | 計 | ||||
針葉樹林 | 632.02 | 17.6 | 167,941 | 48,330 | 216,271 | 342 |
針広混交林 | 1,168.84 | 32.5 | 207,710 | 149,807 | 357,517 | 306 |
広葉樹林 | 1,428.56 | 39.8 | 74,596 | 266,525 | 341,121 | 239 |
造林地 | 301.00 | 8.4 | 12,578 | 6,318 | 18,896 | 63 |
未立木地 | 44.68 | 1.2 | ||||
その他 | 17.98 | 0.5 | ||||
計 | 3,593.08 | 100.0 | 462,825 | 470,980 | 933,805 | 260 |
財団の代表的な森林です。エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツなどの針葉樹に、ミズナラやシナノキ、イタヤカエデ、ハリギリ、ハルニレ、ヤチダモなどが混生しています。
山火事跡地にできたダケカンバの純林。その足元には、森の次世代を担うエゾマツなどが成長してきています。
ミズナラは針広混交林を形づくる主要な樹木。また、一部の林分では純林を形成しています。
管理地内では、材に適さないという理由から伐採を逃れた、樹齢300年以上を数える直径1m以上の巨木も見られます。
トドマツ、アカエゾマツ、エゾマツで構成される針葉樹の森。森林回復のため、昭和43年から阿寒の気候に適したアカエゾマツを主体に人工植栽も行っています。